平成医療改革31年史

昭和の医療から発した国民の不満と平成の改革

平成時代の初期の医療を覚えていますか。

「3時間待ちの3分診療」「患者のたらい回し」「医師の説明不足」「薬漬け・検査漬け」「薬害エイズ」「製薬会社の接待漬け」「患者への実験的治療」「医師への不信募る」

医療に対して、様々な不満が沸騰しておりました。昭和の時代に、その不満の元となる悪しき土壌が築かれたのです。それはなぜでしょうか。

明治維新以来の自由開業制のために、医療機関が無秩序に乱立しました。当時の富国強兵政策のために、国家は、国民の健康を守ることにまで力を注げなかったのです。医学部を卒業した医師のその後の仕事に関しては、医局任せになり、国家はほとんど関与しませんでした。その中で、医療社会全体の人事に関して、医局支配が行き渡ったのです。
一方では、自由開業制の中で林立した医療機関が、医師会を形成し、政府への圧力団体として君臨するようになりました。
また、「お医者様は神様です」という今では考えられない風習の元で、医師の慢心が横行しました。そういうわけで、政府からの医療社会への統制が未熟なまま、平成の時代を迎えました。そこで、国民の怒りが爆発したのです。その怒りを追い風として、政府が医療社会の統制に乗り込み始めました。
憲法第25条で、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と記載されていることからもわかるように、国民の健康を守るシろアムを作るのは、国家の任務です。その国家が、平成になってようやく動き出せるようになったのです。

そして、平成時代に、改革が次々と成され、徐々に政府統制が浸透しました。そして、「医師は、国民の健康を守るための最前線作業員にすぎない」という時代へと向かい始めました。
平成時代は、医療改革の31年といえるのです。そこで、歴史的観点を踏まえて、医療社会を紹介するこのシリーズを始めることにしました。

月刊メディカルサロンより

※このコンテンツは「月刊メディカルサロン」に連載された内容を転載したものです。