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健康教育コーナー

身体を守る粘膜

「検査で口や鼻の粘膜をこする」など、「粘膜(ねんまく)」という言葉は聞いたことがあると思いますが、どのような働きをしているのでしょうか?

体内を外からの刺激から守るために、身体の表面は「皮膚」で覆われています。身体の内側にも「内なる外」と言われる空洞があり、外からの刺激を受けています。口から肛門までの消化管です。空洞部分である消化管の表面は、皮膚と同じように、「粘膜」で覆われています。目の結膜、耳下腺、唾液腺、鼻の中、口の中、喉・気管、乳腺、肺、胃、小腸、大腸の内側、膀胱、子宮、性器にも粘膜があります。

身体の中であっても、空洞部分には空気や食べ物、飲み物などが通過するため、外敵や異物が通ることがあります。病原体が体内に侵入するためには、皮膚や粘膜を通過しなければなりません。皮膚の表面には角質という膜があり、病原体の侵入を防ぎやすくなっていますが、粘膜の表面には角質がなく、もろいため、工夫して病原体が侵入しにくい状態にしたり、病原体を排除する物質を分泌させるなどしています。細菌やウイルスなどの感染から身体を防御するとりでとなる粘膜を、常に健康な状態に保っておく必要があります。目か乾く、口内炎ができる、喘息がある、胃炎を起こしやすい、膀胱炎になりやすい、などでは粘膜が弱り、病原体が侵入しやすくなっています。例えば、インフルエンザに感染した気道の粘膜細胞が新たに再生するまで、3週間から1ヶ月間かかるといわれており、その間は無防備な状態が続きます。

予防接種に使われる通常のワクチンは、血液中を巡って働く抗体を産生させるため、侵入した直後のウイルスを死滅させますが、病原体の侵入自体を阻止することはできません。粘膜には、「粘膜バリア」と呼ばれる防御システムがあり、病原体のほとんどは粘膜から侵入するため、口、気管、腸などの「粘膜で働く抗体」を大量に作らせ、細菌やウイルスの侵入を阻止できるワクチンの開発が期待されています。

粘膜ワクチンである、鼻から投与する経鼻ワクチンは、全身性の抗体を産生するだけでなく、ウイルスが侵入する際に通る気管粘膜のバリア機能も高めるため、感染防御がより強くできると考えられ、注射よりも痛みが少なくて済むという利点もあります。

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